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「小児期のウイルス性肝炎の病態解明と治療の標準化に関する研究」

「B型肝炎ウイルスキャリアの2回目の妊娠中における抗ウイルス治療報告」

 B型肝炎ウイルス (HBV) の母子感染は、HBVキャリアの妊婦にとって悩ましい問題です。特に第一子に母子感染予防を行ったにもかかわらずHBVキャリアになってしまった女性が第二子を妊娠した場合、さらに不安が強くなります。今回名古屋市立大学小児科を中心に、このような妊婦に核酸アナログ製剤を投与して母子感染に効果があるか検討しました。

 2011-2015年に無症状のHBVキャリア妊婦8例が前向きにリクルートされました。第一子に母子感染予防を行ったにもかかわらずHBVキャリアになってしまったため、第二子妊娠中に抗ウイルス治療のため紹介された症例でした。年齢は28-37歳、日本人は5名、中国人2名、ベトナム人1名でした。全例がHBs抗原とHBe抗原陽性でした。ジェノタイプC型が5例、判定不能1例、2例は不明でした。8例のうち7例がHBV-DNA定量が9 log copies/ml でした。

 5例は核酸アナログ製剤を投与され (治療群)、3例は治療に同意しませんでした (非治療群)。治療群のうちラミブジン投与は3例、テノホビル投与が2例でした。4例は妊娠28-32週から投与を開始し (1例は妊娠22週)、分娩後4-8週で投与を停止しました。すべての児に母子感染予防処置が実施されました。

 治療群は全例母子感染を予防できました。また、母児ともに核酸アナログ製剤投与による有害な影響はみとめませんでした。一方、非治療群3例のうち2例がHBVキャリアになりました。

 この研究は、第一子に母子感染予防を行ったにもかかわらず児がHBVキャリアになってしまった母体のみを対象とし、妊娠中に核酸アナログ製剤を投与した初めての研究です。でも症例数が少なく無作為割付もされていないので、統計学的な有意性を示すことはできませんでした。最も有効なHBVの母子感染予防法を検証するには、もっと大規模な研究が必要です。

【出典】
  • 筆者:Wakano Y, Sugiura T, Endo T, Ito K, Suzuki M, Tajiri H, Tanaka Y, Saitoh S.
  • タイトル:Antiviral therapy for hepatitis B virus during second pregnancies.
  • 掲載雑誌:J Obstet Gynaecol Res. 2018 Mar;44(3):566-569.
  • Pubmedリンク先