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「小児期のウイルス性肝炎の病態解明と治療の標準化に関する研究」

「小児期の慢性B型肝炎ウイルス感染に伴う若年肝細胞癌の特性とαフェトプロテインの有用性」

 小児期の慢性B型肝炎ウイルス感染による若年の肝細胞癌 (HCC) は、一般的に進行がんで診断されることが多く、予後不良です。小児・若年成人のHCCは症例数が少ないため、どのような臨床的な特徴を持つのか十分わかっていません。成人HCCのスクリーニング検査ではαフェトプロテイン (AFP) と超音波検査を用いますが、若年HCCでAFPが有用かについて検討しました。

 私たちが平成23年から25年にかけて全国18施設より収集した小児B型肝炎ウイルス感染者548例のデータベースから、15例がHCCになったことがわかりました。男性13例、女性2例、年齢の中央値は15歳 (9-36歳) でした。インターフェロン治療を受けていたのは15例中5例で、5例ともIFN治療は無効でした。10例が原病死しており、そのうち9例はHCC診断までどこの医療機関にも通院していませんでした。生存している5例は、全員通院を続けていました。また、HCC症例は非HCC症例に比べて肝硬変合併やHBe抗原セロコンバージョンが有意に多いことがわかりました。

 AFPの有用性を調べるため、私たちの14症例と過去の論文から26症例を集め、検査精度を調べました。AFPの上限を20ng/mlに設定した場合、HCCの感度は95%, 陽性的中率は86%でした。AFPの有用性は前向き研究で評価する必要がありますが、定期的にAFP測定を行うことは、小児期の慢性B型肝炎ウイルス感染者に合併するHCCの早期発見を助けるツールになるかもしれません。

【出典】
  • 筆者:Tajiri H, Takano T, Tanaka H, Ushijima K, Inui A, Miyoshi Y, Ozono K, Abukawa D, Endo T, Brooks S, Tanaka Y.
  • タイトル:Hepatocellular carcinoma in children and young patients with chronic HBV infection and the usefulness of alpha-fetoprotein assessment.
  • 掲載雑誌:Cancer Med. 2016;5:3102-10
  • Pubmedリンク先:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27748053